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金武町立中川小学校

令和元年度 中川小学校 英語教育課程特例校の取組についてNEWS&FAQ

1. 特別の教育課程の概要

 これからの時代において必須となるグローバルな視野を持った人材を育成するため、1〜6学年に「英語活動」を設置し、「外国語活動」と合わせて年間34〜70時間を英語教育に充てる。
・小学校1学年において、音楽を11時間、図画工作を11時間、体育を12時間削減し、34時間の「英語活動」を設置する。
・小学校2学年において、音楽を10時間、図画工作を10時間、体育を15時間削減し、35時間の「英語活動」を設置する。
・小学校3〜6学年において、総合的な学習の時間を20時間削減し、外国語活動とあわせて、3・4年生で35時間、5・6年生で70時間の「英語活動」を設置する。
※教育課程全体は【別表1】の教育課程編成表を参照

2. 特別の教育課程を編成して教育を実施する必要性

 金武町は、明治・大正時代、當山久三翁に代表されるように、ハワイをはじめ北米・フィリピン・中南米への海外移民の先駆をなし、現在多くの方々が現地で活躍している。そのような歴史的背景から海外移住者子弟等の受け入れ事業、ハワイ州カポレイミドルスクール姉妹校交流事業、ハワイ短期留学派遣事業、海外ホームステイ派遣事業等の国際交流事業が行われてきた。 金武町は、リゾート施設(外国資本)・医療施設・リハビリ施設等の一体型施設が着実に建設されており、英語を使える人材の育成が望まれている。よって、平成27年度以降、小中が連携した系統的・段階的な英語活動(英会話科)の推進で、本町の掲げる「国際性に富んだ人材育成」を図っている。

3. 実施の効果及び課題

 中川小学校では「夢や目標を持ち、心身ともに健康でたくましく、持続可能な社会に貢献する」を大きな柱とし、「よく考えやり抜く子(知)」「心はひろく思いやりのある子(徳)」「健康でたくましい子(体)」を教育目標に掲げている。また、国際理解教育の目標として、
  @地域を愛する心を育て、日本の文化・伝統に誇りをもつとともに外国の文化を理解し、互いに尊重する態度を育てる、
  A相手の気持ちを思いやり、だれとでも仲よくする気持ちを育てる、
  B自分の考えや意見をはっきり表現できる子を育てる、
 を元に低・中・高学年別に目指す子ども像を立て、日々の英語活動に取り組んでいる。また、本校はユネスコスクールであり、本特例校事業を国際理解教育の一環としてESD教育(Education for Sustainable Development,持続可能な開発のための教育)を推進している。
 児童アンケートを見ると、どの学年も友達と楽しみながら、英語活動を行っていることが伺える。「どんなことが楽しいか」の回答で、低学年ではゲームや歌・ダンスなどを通して楽しく学習している。中学年においては、ゲームなどを通し、新しい英語を覚えることを楽しみながら、他児と協力して英語活動をしている。高学年においては、ゲームやICTを使ったパワーポイントスライドの作成、ビデオ撮影等のプロジェクトを通して新しい英語を覚え、上手に話せることを楽しんでいる。
 そして、5年生においては、グループで作成した金武町のプレゼンテーションを海外移住者子弟研修生に紹介し、お互いの文化や食べ物を知ることができた。研修生との交流やハロウィン・クリスマスなどのイベントを通し、児童は他国の文化や言語に興味・関心を持ち、自国の文化や伝統に対して理解を深め、誇りを持つことができた。
 また、ネイティブスピーカーの保護者の協力を得てハロウィン・クリスマスなどのイベントを通し、これまで慣れ親しんできた語彙を使ってコミュニケーションをとることができ、自信に繋がっている。他国の文化や言語に興味・関心を持ち、自国の文化や伝統に対して理解を深め、誇りを持つことができた。
 全体を通して、英語教育の重要さを理解し、形成的会話テストや英検ジュニアを毎年実施することで、授業で学習した英語を使う喜びを味わう児童も増えてきた。
 また金武町には米軍基地があり、基地従業員も多く、保護者のネイティブスピーカーとの会話がしたいという向上心が見られる。学校以外でも外国人と関わる機会が多く、身近に英語を必要と考える児童も多い。【別表2】

教師へ行ったアンケートには、下記のような感想が寄せられた。(抜粋)

 

・英語の時間以外でも、英語を使ったクイズをしたり、積極的に英語を使うようになった。

・恥ずかしがらずアウトプットをするようになり、自分のわからない英語に対しても理解しようという姿勢が表われた。

・苦手意識の強い児童も授業に参加するようになった。

・英語が苦手だったが、子ども達と一緒に楽しむことができるようになり共に成長できたと思う。

・英語が苦手だが、開き直って授業中もJTEの先生や子ども達に問い返しながら進めた。

・英語で歌やクイズをすることで、自然に単語が身に付くのが楽しい。

・ゲームや活動を通して、日本語が使えず相手にメッセージを伝えるのが難しいが、子どもとそのやり取りをして分かり合えた時が楽しい。


保護者へ行ったアンケートには、下記のような感想が寄せられた。(抜粋)

 

・ゲームや遊び感覚で英語を覚えているので、中学校の英語からのスタートよりも苦手意識はなく学んでいるので、良い取り組みだと思います。

JTEの先生が楽しめるように色々工夫してくれている事が子どもの話の内容で伝わる。低学年なので、関心を持てる内容で十分だと思う。

・子どもも英語に興味を持つようになり、簡単な単語や買い物等、逆に親の私達に教えてくれます。英語には親しみがあり、大好きなようです。ぜひ続けてほしいです。

・小学生のうちから英語を取り入れることは良いことだと思います。日常会話を身につけさせるには週に1時間の授業だけでは難しいと思います。週24時間程まで増やせると良いとおもいます。・せっかく習っても使う(英語を話す)機会がないので、もったいないと思います。同学年ぐらいの英語圏の子ども達の交流があると活かせるのかと思います。

 中川小学校では、教育基本法第2条5号と学校教育法第21条第3号で掲げる教育目標を踏まえ、我が国と郷土を愛し、他国の文化を理解し、英語をとおして金武町の掲げる「国際性に富んだ人材育成」等の土台作りを目標としている。
 本校で実施している英語学力調査[新教育課程対応版(東京書籍)]において、総合正答率が、5年生で80.0%、6年生で89.6%となっている。
 5年生は、アルファベットの認識力が定着しつつあり、単語や英作文を書くことに成果を出している。しかしながら、単語や日常会話の意味理解やアルファベットを聞いて書く問題やなどの正答率は低いことから、繰り返し丁寧に指導する必要がある。
 6年生においては、正答率9割以上の位置にピークがあり、全問正解の児童を合わせると、9割以上正解の児童が62.5%という結果が出ている。全体として高いレベルで学習内容が定着しているといえる。対象児童が5年生の時の結果(85.2%)、及び、昨年度の6年生の結果(82.3%)と比較しても向上している。特に、例文を参考に自己紹介文を3文以上書く問題の正答率は100%となっていることから成果といえる。
 しかしながら、他校に比べ、音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句で書かれた単語の意味理解や、日常会話を聞くことの理解に課題があることから、今後は聞きなれない音声に対しても意識させる指導の充実が必要である。【別表3】

4.課題の改善のための取組の方向性

(1)成果
  ・児童の9割以上が英語の授業を楽しんでいる。
  ・平成27年度から年度を追う毎に英語を使うことへの抵抗感がなくなっている。
  ・英語学力調査において、正答率が6年生89.6%、正答率9割以上を達成した。
  ・保護者の英語教育に対する評価は高く、今後も取組を継続してほしいという意見が多い。
  ・今年度は、小中合同夏季研修会において、小中連携の重要性を小6担任と中学校英語教諭で確認し、英語アプローチカリキュラムの内容や日時についての話合いを持つことができた。
  【別表4】

(2)課題
  ・新型コロナウイルス感染症対策に伴う学校休業等により、計画していた2回のアプローチカリキュラムを実施することができなかった。
  ・担任やALTによってスモールトークの取組にばらつきがあった。
  ・ティームティーチングの充実
  ・内容面の充実
  ・ネイティブスピーカーとの交流機会の設定

(3)今後の取組の方向性
  ・中学校との連携でアプローチカリキュラムを実施
  ・スモールトークの充実
  ・担任とFT・ALT・JTEとの打合せの時間の確保
  ・海外移住者子弟研修生等との交流会の内容の充実

5.資料

 (1)令和元年度教育課程特例校に関するアンケート(教師)【別表5】
 (2)令和元年度教育課程特例校に関するアンケート(保護者)【別表6】
 (3)児童の様子【別表7】